コンテンツへスキップ

2019年度半導体EMCセミナー 開催レポート


【日時】2020年2月4日 9:45~ 16:45
【場所】電子情報技術産業協会(JEITA) 大手センタービル (東京・大手町)
【サブタイトル】~ パワーデバイスのEMC動向とモデルベースシミュレーション ~
【聴講者】40名

概要

第5回を迎える半導体EMCセミナーでは、昨今注目されている二つの切り口の、『パワーデバイスのEMC動向』(大阪大学 教授舟木様)、『設計段階でのEMI/EMCシミュレーションを活用したモデルベースシステムエンジニアリング』(インド科学大学 准教授Dipanjan様/株式会社デバイスラボ CEO 代表取締役 大毛利様)の2つを講演いただきました。
そして、これらに先立ってJEITA委員から、例年と趣向を変え、JEITA/EMC-SC活動とその成果として、国際規格の最新審議動向・実証実験結果について報告するとともに、集積回路モデリングPGで行っているシミュレーション解析に使用するモデルの要件定義の標準化活動や半導体EMC性能等価性評価法WGで行っている、PCN(Process Change Notice)プロセス変更通知が発生した際の検討負荷低減に向けた標準化活動について説明しました。

1.半導体EMC の IEC 国際規格動向
1-1 半導体 EMC SC の活動
(JEITA 半導体 EMC SC 主査 冨島敦史[東芝デバイス ストレージ 株式会社 ])

半導体EMCを審議しているIEC SC47Aの国内審議委員会であるJEITA 半導体EMC-SC
の活動内容について報告いたしました。

1-2 IEC 国際規格最新動向 2019
(JEITA 半導体 EMC SC 主査
  冨島敦史[東芝デバイス ストレージ 株式会社 ])

半導体のEMC性能の測定方法から始まり、モデリング方法がこれまで標準化さ
れてきましたが、現在はバストランシーバの評価方法に審議の中心が移ってきて
います。半導体EMCに関する国際標準化の現状を解説しました。

1-3 実証実験結果報告
 (JEITA 半導体 EMC SC 実証実験 WG リーダ 
  大野剛史[ルネサスエレクトロニクス 株式会社 ])

JEITA 半導体EMC-SC下で活動している実証実験WGの狙い、内容について報告
いたしました。半導体EMC-SC内の技術的な議論を活性化し、技術的な課題や限
界を具体的把握することで、国際規格をより有益なものにすることを目指してい
ます。

2.半導体EMC に関連する新たな活動紹介
2-1 EMC モデル 集積回路モデリング PG の活動背景と目的
       ( JEITA 集積回路モデリング PG 主査 稲垣亮介 [ ローム 株式会社 ])

仮想設計を実現する上で必要な,電子デバイスのシミュレーション・モデルの円滑な
流通を実現する事を目的としたJEITA 集積回路モデリングPGの活動を紹介いたしまし
た。シミュレーション,モデルの要件と適合性の検証手法を定義し,国内標準化・国際
標準化を行うとともに、モデルが正しく使用される為のガイドラインを作成を目指し
て活動しています。

2-2 EMC 測定 半導体 EMC 性能等価性評価法WGの活動背景と目的
 (JEITA 半導体 EMC SC 半導体 EMC 性能等価性評価 法 WG リーダ
  市川浩司 [株式会社 デンソー])

半導体 EMC 性能等価性評価法WGの活動について紹介していただました。半導体業
界再編、Fabの集約、外部Fabの活用などを受けて、PCN(製品変更通知)が発行され
る事例が増えています。その度にPCNの前後で半導体特性の違いを評価・確認を行う
必要があり、多くの工数を要し、大きな負担になっています。半導体 EMC 性能等価
性評価法WGでは、半導体EMC評価方法(IEC61967、IEC62132)を活用して、EMC
性能が軽微な差であることを確認し、再試験の有無や項目削減を判断するためのスキ
ームの標準化を目指しています。

3.【招待講演】パワー デバイスの EMC 動向
 (大阪大学 大学院 工学研究科 電気電子情報工学専攻 システム・制御工学講座
  教授 舟木 剛 氏)

パワーデバイスの性能向上に伴い,MOSFET の特長を利用した同期整流などの低電
圧で用いられてきた技術が高電圧の回路で用いられるようになってきています。高速
スイッチングの大きなdi/dt はノイズの発生源となるため,パワーデバイスを小型モ
ジュール化して配線の寄生インダクタンス低減を図っていますが、同時に発熱密度上
昇による熱設計が困難になっており、その両立を図る必要があります。ご講演ではパ
ワーデバイスの進化とともに変化する EMC 設計について解説いただきました。

4.【招待講演】設計段階でのEMI/EMC シミュレーションを活用したモデルベース
  システムエンジニアリング
  (インド科学大学Electrical Communication Engineering/准教授
   Simyog Technology Pvt. Ltd., Bangalore, India
   CEO Dipanjan Gope氏
   株式会社デバイスラボ CEO 代表取締役 大毛利 健治 氏)

EMI/EMC の設計課題をモデルベースシステムシミュレーションによって解決するツ
ールやアプローチについて紹介いただきました。製品開発最終段階で現れる問題は、
その約30% が EMI/EMC に関連するとされており、IC の微細化や実装の高密度化に
より、この問題はますます顕在化すると予測されます。このような問題には、設計段
階まで遡って解決する場合もあり、多くの費用と時間が掛かります。 このような状
況を解決するために、モデルベースシステムシミュレーションを適用することで、早
い段階からEMI/EMCを考慮した設計を実現します。

5.【座談会】EMC技術の過去・現在・未来と EMC シミュレーションへの期待
 [座談会メンバー]
 舟木教授、Depanjan 氏、大毛利氏、 JEITA/ 半導体 EMC SC メンバー

当日行われた講演者に再び登壇いただき、背景を講演者に改めて解説いただきまし
た。すべての講演の内容を通しで振り返ることで、EMI/EMC問題の『今』、そして
今後向かうべき方向について、会場の聴講者と一緒に議論しました。JEITA 半導体
EMC SCのメンバーや聴講いただいた方から、ご講演に対するコメントが数多く寄せ
られ、より深い理解を会場全体で共有できたと感じました。