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エミッション


エミッション評価方法

半導体のEMI評価方法はIEC 61967:Integrated Circuit , Measurement of Electromagnetic Emissions,150kHz to 1GHzで規格化されています。 これらの評価では半導体デバイスをEMIの駆動源として捉え、これを定量的に測定評価します。 システムで問題となるEMIの発生および伝搬は様々であるのでそれに対応するように6種類の測定方法(IEC 61967-2~6、8)が提案され、規格化されています。

なお、1GHz以上の周波数帯域で使用されるアプリケーション要求が増えてきたことより、周波数範囲限定を削除する合意がされており、規格の改定に合わせて順次変更が適用される予定です。

IEC 61967-2, 3, 8が放射性雑音(radiated emission)の測定法、 IEC 61967-4~6が伝導性雑音(conducted emission)の測定法を規定し、IEC 61967-1ではこれらの評価方法の共通規格で、 目的、適用範囲、評価法間の比較、用語説明などから構成されています。標準化の審議状況と各測定方法の概要、測定上のポイントなどを紹介します。

 

評価方法解説

評価方法一覧を下表に示します。
尚、本内容は参考であり、詳細は正式な各Documentを参照ください。

Integrated Circuits,Measurement ofElectromagnetic Emissions (IEC 61967)

IEC 61967-1(PART1) General conditions and definitions
IEC 61967-2(PART2) Measurement of radiated emissions TEM-Cell 法
IEC 61967-3(PART3) Surface scan 法
IEC 61967-4(PART4) Measurement of conducted emissions 1Ω/150Ω (VDE) 法
IEC 61967-5(PART5) WBFC 法
IEC 61967-6(PART6) マグネティックプローブ(MP) 法
IEC 61967-6 amd1(PART6)
IEC 61967-8(PART8) Measurement of radiated emissions IC ストリップライン法

 

■IEC 61967-1 (Part1) General conditions and definitions

ここでは以下の項目がIEC 61967の共通項目として規定されています。
・規格の目的と範囲
・用語定義
・試験条件、装置、準備、手順、報告書
・標準試験基板の仕様
・各測定法の比較表

標準試験基板は各測定法で共通な基板を用いて、再現性良く異なるデバイスを比較するために規定されている。但し、それぞれの評価法は異なる物理量を評価するために共通仕様では不十分な点があり、IEC 61967-2~6ではIEC 61967-1と異なる点を報告書に明記する必要があります。

 

ここでは標準試験基板の仕様について解説します。

・基板層数は2層以上とするが、4層以上が望ましい
・層1の空き領域は、全てGNDパターンで覆う
・ICパッケージの直下の各層には、できる限りGNDを配置する
・層1にはDUTのICだけを搭載する
・IC以外の部品は、層4に配置する
・動作に必要なピンは、層1から層Nにだして配線する
・配線長が最短となるように、ビア位置・部品向きを最適化する
・その際、回路配線長などが短くなるように、ビア位置・部品向きを最適化する。
・評価基板のサイズは99~103mm角の正方形で、基板周囲にはGNDを構成する。
・層1と層4を結んでいるビア間隔は10mm以下で、ビア径0.8mmで接続する。(他のビアの径は0.2mm以上とする)
・周囲5mm以上をGNDとしスズか金メッキ処理する。
・電源でカップリング回路を配置
・ICベンダの推奨するキャパシタを使用する。

■IEC 61967-2 Measurement of radiated emissions TEMセル法

評価方法の解説

小型のTEMセルの側面に評価基板を搭載できるようにし、測定対象のデバイスのみがセルの内側に、その駆動回路、コンデンサは外側になるようにする。これによりデバイスからの直接放射を測定することができる。

TEM-Cell

 

■IEC 61967-3 Measurement of radiated emissions 表面走査法

評価方法の解説

デバイス表面を磁界/電界プローブで走査する方法であるが、WG9内では実質的審議がほとんどなされていない。

Surfacescan法 測定

 

■IEC61967-4 Measurement of conducted emissions 1Ω/150Ω(VDE)法

評価方法の解説

デバイスのGNDに1Ωを挿入し、ここを流れる高周波電流を測定する。150Ωは出力信号の高周波ノイズ測定を行う場合である。本規格を提案したドイツを始め欧州では広く採用されている。しかし消費電流が大きいデバイスにとって1Ωは通常動作に対して影響があると考えられるし、プローブ自体のインピーダンスは高周波になるほど1Ωからずれることを考慮しなければならない。2020年現在、市販のプローブの特性を考慮し、推奨周波数が最大30MHzに変更された。

また、150Ω法については、周波数の上限(1GHz)が削除され、1GHz超で試験をする際に考慮しなければいけないこと、ピンの選定ガイドなどが、Annexに追加改定された。

1ohm法 測定イメージ

 

■IEC 61967-5 Measurement of conducted emissions ワークベンチ・ファラデーケージ法

評価方法の解説

フィルター機能を持つ入出力のインターフェイスを具備した鉄製の箱(ファラデーケージ)に試験基板を配置し、その基板のGNDの揺れ具合を評価する。デバイスが動作する際に流れる電流により基板のGNDが揺らされ、システムではそこに接続されるケーブルにコモンモード電流が流れ、EMIの原因となると考えられる。本測定法ではこのEMIの原因となる評価基板のコモンモード電圧を測定します。

WBFC (Work Bench Faraday Cage)

 

■IEC61967-6 Measurement of conducted emissions マグネティックプローブ法

評価方法の解説

マグネティックプローブ法 磁界プローブで電源系配線、信号配線に流れる高周波電流を非接触で計測する。

測定する配線はマイクロストリップ構造の配線とする必要があり、プローブの出力はプローブの校正係数、評価基板の構造から決まる変換係数により電流値に変換する。

Magnetic Probe法

 

■IEC61967-8 Measurement of conducted emissions ICストリップライン法

評価方法の解説

ストリップラインを用いて放射エミッションを測定する。ストリップラインは基板(GND面)に対して、特性インピーダンスが50Ωに整合されており、評価するIC直上に配置する。ICからの放射エミッションをストリップラインとGND間に発生する電圧で評価する。

IC Stripline法 (オープンタイプ)