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2025年度半導体EMC-SCセミナー開催レポート


【日時】2025 年2 月7日(金) 12:30~16:45
【場所】連合会館 404 会議室(東京 神田駿河台)

      

第10回目の開催となった2024年度の半導体EMCセミナーは、昨年に引き続き対面で開催いたしました。本年度のセミナーは、スマートフォンやカーナビ、ドローン、自動運転など、もはや日常生活に欠かせない技術となっているGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)を取り上げました。衛星からの微小な信号を受信するGPSが市中の電波環境のなかで正常に機能していることは、EMCの観点からも非常に興味深いテーマです。

1件目は、『都市部移動体における高精度測位の現状と今後の課題 』と題しまして、基本的なGPSの仕組み、高精度測位に関するご研究について東京海洋大学久保信明教授にご講演いただきました。
2件目は、『 車載アプリケーションから見た GNSS 受信環境へのノイズと対策 』と題して、GPSを搭載する機器開発におけるノイズ対策の事例についてパイオニア株式会社布留川様にご講演いただきました。
講演終了後は、『GPS測位技術利活用の未来とノイズ』と題した座談会を行いました。講師、参加者交えて、講演の振り返りやGPS機器開発におけるEMC設計の議論を起点に半導体設計と機器設計の協調、イミュニティ/エミッション規格におけるクライテリアなど忌憚のない意見交換が行われました。
この座談会だけでなく、セミナー終了後に開催された情報交換会も含めて参加者間のコミュニケ―ションや講師の方々の熱量を肌で感じられるなど、対面開催ならではのセミナーとなりました

1 .JEITA/IEC 標準化動向と半導体 EMC サブコミティ活動の紹介
JEITA/半導体EMC-SC 主査
冨島 敦史 [東芝デバイス&ストレージ(株)]

IEC で国際規格化が行われている半導体レベルの EMC 測定およびモデリング規格の最新の動向と、国際会議における審議状況および業界での活用事例を紹介するとともに、それらの課題解決に取組む、半導体 EMC サブコミティの活動を報告します。

    

2.【招待講演】都市部移動体における高精度測位の現状と今後の課題

久保 信明 教授
東京海洋大学 学術研究院 海事システム工学部門

都市部移動体における cm 級の高精度測位について研究開
発を行ってきました。それら実験結果を紹介するとともに、今後の自動運転
へ寄与できる面や直近の課題について紹介します。GNSS の信号で課題となる
マルチパス誤差や干渉の問題については専門的立場よりコメントします。

     

3.【招待講演】車載アプリケーションから見た GNSS 受信環境へのノイズと対策

布留川 秀暁 様
パイオニア株式会社
グローバル技術開発統括本部 技術開発本部
ハード開発統括グループ 第 1 ハード設計部 5 課

GPS を含む GNSS から得られる位置情報の一般利用はカーナビゲーションが代
表的でしたが、スマートフォンの普及に伴いここ 10 年強で急速に浸透してき
ました。今では GNSS を利用した位置情報は公共インフラといっても過言では
ない状況となっています。利用拡大に伴い位置の精度や安定性にも関心が集
まっており、デバイス開発、機器開発においては、GNSS 利用環境への影響を
極力押さえる努力がより求められています。
本講演では、GNSS の技術的概要から車載アプリケーションに影響を与えるノ
イズの特性、その対策事例についてご紹介します。