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2015年度半導体EMCセミナー 開催レポート


  • 【日時】2016年 1月27日 10:00~ 17:00
  • 【場所】電子情報技術産業協会(JEITA) 大手センタービル                              (東京・大手町)
  • 【聴講者】30名

概要
第一回の半導体EMCセミナーは、「製品レベル」、「システム/セットレベル」、「半導体レベル」の各視点からノイズの問題を捉えることをテーマに開催いたしました。初めに、JEITA 半導体EMCのメンバーから「半導体レベル」のEMCの考え方や、標準化が進んでいる測定方法やモデリング方法について解説されました。次に、半導体EMCのメンバーでもあるノイズ研究所様より、システム・セットレベルのEMC規格、要求レベルについて体系的に紹介されました。また、京都大学 和田教授からは、半導体レベルのノイズ評価結果やモデルを活用したセットレベルのEMC設計について講演いただきました。最後に、特別講演として、JAXA様から人工衛星の、三菱航空機株式会社(MRJ)様から航空機のノイズ問題についてお話いただきました。ノイズ問題は、製品によって現象やレベルが様々であることを具体的に解説いただきました。

 

1 半導体EMC関連規格の解説
(JEITA 半導体 EMC SC 規格審議 WG リーダ 石川 靖之[ 株 デンソー ])

半導体EMC 国際規格は、エミッション・イミュニティ測定法、 IC の EMC モデリング法、バス・トランシーバ測定法があります。電子機器の EMC 性能向上の為には、半導体メーカ、ユーザ双方が各規格内容、活用シーンを理解することが重要であり、各規格の概要、最新審議状況に加え、本 SC 内実証実験の結果を交えて解説しました。

2.【研究所・大学部門】 システムレベルEMCの概要と半導体デバイスへの影響
(JEITA/半導体 EMC SC 石田武志 (株 ノイズ研究所))

電子機器(システム)は、装置-プリント基板-部品(デバイス)で構成され、
IC/LSIに要求される EMC 性能は、目的のシステムによって質も量も大きく異なります。そのため、デバイス設計・評価時にはシステムレベルの EMC 要求を理解することが重要です。講演の中で、システムレベル規格の体系及びノイズの特性や要求レベルなどを概説いたしました。

3.【研究所・大学部門】 半導体EMC規格でなにができるか:
-セットレベルEMC規格との対応・造る前の「EMC設計」-
(国立大学法人 京都大学大学院工学研究科 電気工学専攻  教授 和田 修己様 )

半導体EMCとセットレベルのEMCは、『関係はあるが、(かならずしも)相関はない』というインパクトのあるメッセージから始まりました。しかしながら、『関係がある』というところが重要で、測定方法、モデリング方法の半導体EMC規格が、『EMC設計』『部品選定』『品質管理』、『コスト管理』に大いに役立つことを解説いただきました。

4.【特別講演】科学衛星の軌道上リスクと搭載用半導体部品に対する要求
(国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所(JAXA)
廣瀬 和之様、小林 大輔様)

宇宙環境で使用される機器開発と一般の機器開発の違いを講演いただきました。宇宙へ機器を輸送するコストや宇宙線への耐性が必要など、一般の機器開発とは信頼性に求めれるレベルが異なっています。宇宙線への耐性に関しては、耐性も強化したMPUまで独自開発しているということで、信頼性確保のために多くのコストをかけている印象でした。しかしながら、最近は民生部品の活用を増やしていく必要があるとのことで、設計である以上は、バランスは違えど、コストと性能の最適化が重要だとお話しいただきました。

5.【特別講演】航空機におけるEMC(Electro Magnetic Compatibility)
(三菱航空機株式会社(MRJ) 橋上 徹 様)

管制レーダからの電磁照射や落雷、雨・雪との摩擦に起因する静電気など、飛行環境特有のEMC問題を説明いただきました。航空機の材質は、金属から複合材に置き換わるEMC的には厳しいトレンドのなかで、EMC設計がますます重要になっており、巨大なシステムである航空機の設計の中で非常に精緻に実践されていることを説明いただきました。