半導体標準ワーキンググループ


設計における抽象化は、システム全体を考慮した設計手法や半導体の大規模化に伴う設計期間や製造コストの増加に対処するために重要です。Verilog, VHDL, System C, System Verilog など, 最近では AMS関連の設計・検証言語は、抽象度向上の中核を担っています。これまで日本は各種拡張言語の標準化に貢献し、設計の高効率化による製品コスト低減や製品市場投入加速などで市場ニーズに応えてきました。

半導体標準ワーキンググループは、IEEE, IEC の国内外メンバと協議し半導体設計に関する国際標準規格に係る計画・立案を行っているグループです。

半導体標準ワーキンググループは以下のミッションを持ちます。

  1. IEC標準化の方針, 戦略, 実行計画, 方向付け
  2. 標準化に関わる対外団体 (IEC TC91/WG13, IEEE, Accellera 等)との協働
  3. IEEE 標準に対する議論、投票

活動方針

日本提案のEDA国際標準 IEC63055/IEEE 2401の継続的改善と啓発

カーボンニュートラル2050を実現するためキーとなる省エネ技術やデジタル技術の中心となる半導体業界の発展のため、2015年に実現した日本から初めてのEDA国際標準 IEEE 2401-2015 に端を発する、所謂 LPB フォーマットを進化させ、活用推進のための啓発活動を積極的に行います。

国際規格拡張の検討

2019年にはシステムレベルを考慮した半導体設計の複雑化を反映し、1) 熱解析, 2) 上流設計, 3)モデル多様化(IBIS V7等) を実現し、IEEE 2401-2019 を成立させました。さらにIEEEで実現した標準をIECの標準とするべくIEC TC91/ WG13 と協働し、LSI・パッケージ・ボードの規格 IEC 63055 の機能拡張について IEC 内で承認まで実現しました。今後 IEEE と IEC の事務手続きを行い、IEC 63055の更新版が標準化されます。現在のLSI, パッケージ, ボードのバックエンド設計に加え、抽象度が高い設計であるフロントエンド設計, システムレベル設計への拡張を検討します。合わせてMBSE を含め、システムレベル設計者との議論を進めエコシステム構築の足掛かりを進めます。

LPB を基盤とする Supply Chain 強化のためのイベント検討

上記システムレベルへの拡張活動の一環として、EDAの標準化団体であるAccellera Systems Initiative から提案を受けているDVCon の日本開催などLPB を基盤にした現在の活動からシステムレベルへ活動展開を見据えたイベント開催の検討を行います。また毎年実施しており好評のLPBフォーラム/デベロッパーズワークショップ を継続開催し、ユーザの拡大と同時に LPB の活用法の深化を図ります。

関連活動との協働

半導体サプライチェーンを考慮すると、半導体が使われる製品/アプリの拡張, セキュリティなど要求される技術の広範化、製造技術と設計技術の融合など、半導体設計は関連技術との協働が必要になってきています。JEITA半導体標準化専門委員会には当WGの活動と関連する活動を行っている委員会/WGがあり、国際標準化の観点でもTC91/WG13 とSC47A などとの関連は深い活動をしています。これらの関連活動との協働を図っていきます。

国際会議等

上記目標を実現するため、IEEE, IEC の国内外メンバとの 議論を進めます。コロナも落ち着きつつあり、IEC/TC91会議や IEEE DASC 会議などに対面での参加を再開し、Web会議も併用することで効率良く活動し、現行標準の更新議論や技術討議を行います。