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私とLPB 第23回

(この記事は、2019年11月13日にメルマガで配信されました。)
第23回目はコニカミノルタ(株)の野村さんです。では、野村さんよろしくお願いします。

私とLPB

 皆さん、こんにちは。コニカミノルタの野村です。

 昨年度からLPBに参加させていただいております。

 私は、1990年の入社以来、コピアの設計に携わってきました。
 私が入社した当時は、複写機は、いわゆるアナログコピアの時代でした。原稿に光を当てその像を直接感光体に結像させることでトナーの像を形成するものでした。
 暫くするとデジタル化の波が押し寄せ、CCDで読み取った画像を電気信号に変換し、電気信号でレーザーを駆動しながら感光体上をスキャンすることでトナー像を形成する方式に変わっていきました。

 画像信号のデジタル化は多機能化をもたらしましたが、一方で強烈なEMIの問題を発生しました。高速の画像信号が装置を貫いて存在し、今まで経験したことが無いようなEMI対策を強いられることになりました。当時はオープンサイトでいつ終わるとも知れないノイズ対策にあけくれる日々でした。

 その苦労が身にしみた私は、電磁界シミュレータの活用を始めました。単なるシミュレーションへの興味からはじめた仕事ですが、それから20年近く続けています。
 モーメント法から初めて、FDTD法、数百コアを使う大規模解析へと進歩してきたおかげで、基板やハーネス、筐体の解析は何とか妥当なものになってきました。
 しかし、LSIのモデルはなかなか手に入らず未だに苦労しています。

 LPBとのはじめての出会いは、ネットの記事でした。東芝の福場さんという方が、「今後のLSIの開発はセットとの協調設計が重要であり、その実現にはLSIのモデルが必須であると力説された」というものです。当時、LSIメーカーは動作保障のためのSIやPIには注力されるのですが、EMIなどはスコープ外というイメージをもっておりました。そのLSIメーカーが、CPMを提供されるという記事には驚くと同時に、今後EMIのシミュレーションの有効活用を目指す者として心強いものを感じました。

 EMCの問題を真剣にシミュレーションしようとすると、どうしてもLSIモデルの問題に突き当たります。現在ではCPMは比較的流通しているモデルだと思います。最悪測定すれば手に入ります。しかしイミュニティーのモデルはまだまだ入手困難です。
 ESDのモデルについて、大学の先生に相談に行った際、「JEITAの福場さんを紹介してあげるからそこで検討されてはいかがですか?」というご提案を受けました。おもいがけず十数年を経てLPBと再会することになりました。

 LPBに参加させていただき、思ったこと

 半導体メーカーの皆さんの参加が多いのは予想していましたが、ツールメーカーやセットメーカーの参加企業が多いことには驚きました。セットメーカーの課題形成、半導体メーカーの解決に向けた提案、それを実現するツールメーカーという三者の理想的な関係が構築できる予感がします。

 昨年度は、セットメーカーとしての課題を皆さんによく聞いていただけました。LSIのモデルを切り口として皆さんの本音も伺うことができました。
 セットメーカーは、半導体のモデルを要求するが、半導体メーカーはそれがどのように活用されるかを十分説明されない、従ってどんなモデルが、どのような粒度が必要なのか、またこのモデルを出すことでどれだけの効果が得られるのかがわからない、ツールメーカーも本当に必要なモデルであればそれに答える準備はある。三者がそれぞれの役割を果たすことでもっと良い製品を世の中に生み出すことができると、LPBのメンバーの皆さんはそう考えているのだと実感することができました。

 今年度は、「MBDシステム設計WG」を発足していただきました。LSIのモデルとして提案され規格化されてきたIEC 62433をどう解釈して、活用すべきかを議論する「IEC 62433バウンダリモデルTG」で、3つのスローガンのもと活動しています。
 一つ目は「IEC 62433を理解しよう」です。箱根の合宿にて、弘前大の金本先生にIEC 62433の読み解きを行っていただきました。
 二つ目の「IEC 62433を使ってみよう」という項目に対しては、システムのESD試験における誤動作を再現するシミュレーションモデルの作成を試行しています。
 三つ目の「IEC 62433に口を出そう」という項目へはモデル作成から得られた知見を発信できればと考えています。
 
 最後に、私たちのこのような活動に興味のある皆さん、是非、ご参加を検討ください。
 
 これからもよろしくお願いします。

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