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JEITA LPB標準フォーマット 背景


背景と目的

開発の難易度アップ、コスト・開発期間の国際競争の激化に対応するためには 設計のやり方の変革が必要です。LSI、パッケージ、ボード(以下LPB)個々の最 適化ではセット全体の最適化を実現するのは難しくなり全体を見越した設計が必 要です。

そこでLPBの設計全部をある一つの部門で行うことも考えられますが、 LPBそれぞれの知見や設計環境を集めることは困難です。LPB個々の専門の 技術者が専用の環境で腕を振るわなければなりません。そこでLPBがうまく連携 できる仕組みが必要となってきました。
この声を受けてJEITA LPB相互設計 ワーキンググループ(以下LPB-WG)ではLPBが相互に協力してコストと性能の バランスを最適化する設計を実現するために、設計・解析のセットアップ情報や結 果を共有する為の標準規格を策定しています。
これによりLPBの各設計部門間 で情報交換が容易となり設計の無駄の削減や問題点の解決が最適かつ迅速 に行われることを目指しています。

課題分析

LPB相互設計を行おうとすると多くの問題点に直面します。

  • LPBでネットリストがバラバラ
  • LPB全体としての配置関係の表現が煩雑
  • 設計制約の与え方の違い、抜け、デザインルールの齟齬が多い。
  • LPBで設計結果の形状データがバラバラ
  • LPBで用語がバラバラ

これらにより様々な不具合が発生します。

  • 書式の変換作業の労力が大きい。
  • 変換ミスや接続ミスの発生、または必要情報の欠落等があっても発見が困難。
  • 情報収集に時間がかかり、設計・解析の準備期間が長い。
  • 全体検証が行えないので全体を見越したフィードバックが困難。
  • 複数の書式に対応した出力、読み込みツールが必要でライセンスコスト大。
  • 意思の疎通が取れない、または理解に時間がかかる。誤解を生む。

LPB-WGでは相互設計上の問題点の抽出と解決に必要な情報の把握を行い、 それを包含したインターフェースフォーマットの作成を行い、標準規格を策定しました。

ケーススタディ

LPBが相互に協調して設計すべき部分の一例として電源網の設計がありま す。LPB上の電源網:Power Delivery Network(以下PDN)(図1)はノイズを 小さくする為にインピーダンスを下げるように設計をします。

LPB各部に存在するイ ンダクタンス成分とキャパシタンス成分により共振が起こります。共振が発生する 周波数ではインピーダンスが極端に大きくなります。すなわちLPB各部のPDNモ デルを正確にシミュレーションに反映しないと全体のPDNの設計が正しく出来ま せん(図2)。

このシミュレーションを実行するためにはLSIのPDN等価モデル、パッ ケージやボードの形状情報、構成材料の電気特性、構成部品の等価モデルなど 様々な情報を揃えなければなりません。この際にLPBの各部分の設計情報の書 式や仕様の違い、必要パラメータが共有されていない事などが効率的な設計が 出来ない要因となっています。

このように、シミュレーションをとりまくモデルやインターフェースの方法・形式は定 まったものが無く、セットアップにかかる時間とコストは膨大であり、LPBが協調する 障壁となっていますJEITAでは協調設計環境の効率的な構築を可能とするインターフェース方法 を模索する為にLPB相互設計WGを設置し活動しています。

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