(この記事は、2017年3月22日にメルマガで配信されました。当初は次の執筆者を指名して引き継いでコラムを続けておりました。)
第3回目はソニーLSIデザイン(株)の濱田誉人さんです。では、濱田さんよろしくお願いします。
ルネサス システムデザイン(株)の永野さんからご紹介に与りました、ソニーLSIデザイン(株)の濱田です。
私はLPB WGに2011年より参加させて頂いており、気付けばLPBメンバーの中でも古株になってしまいました。そのLPB WGに参加するようになったモチベーションは、LPB WGの活動コンセプトと社内事情が一致していたこと。私自身も、LPBの協調設計担当として、現場からも何とか今の状況を変えたいという思いがあり、LPB WGであればそれが出来るのではないか、と言う可能性を感じたことです。
社内でも、LSI、PKG、Boardといった異なる設計カテゴリ間のデータの遣り取りに、各設計者が任意に作成したエクセルなどを使っていたため、LSI-PKG、PKG-Boardといった設計を跨ぐところで、各カテゴリの設計環境に適したデータ変換をするのに時間が取られてしまったり、またマニュアルによる編集が入るためヒューマンエラーが発生するなどの問題がありました。
この問題を解決するのに、共通フォーマットの作成、及びフォーマット変換ツールの開発、EDAのフォーマット対応など、社内での取組も検討しましたが、EDAツール、フォーマットは多種多様にあり、更に社外とのデータの授受を含めたフォーマットの統一化など、一社でやれることに限界を感じていました。そこに、同じ問題意識を持った企業が集まり、一緒になって問題解決を図っていこうとするLPB WGの存在を知り、LPB WGに参加させて頂くことになりました。
そのLPB WG活動の中でも、2011年のEDS FairでLPB標準フォーマット(当時、Ver1.0)の
活用方法とその効果をLPBメンバーと報告できたことは、今でも思い出として強く残っています。
ここでの報告内容は、仮想のセット設計を定義し、LPBメンバーがLPB標準フォーマットと、従来の『紙』ベースを使う設計とに分かれ、実際にそれぞれで設計を行ってみたところ、LPB標準フォーマットを使う事で、開発期間が61%も削減できる、と言うものでした。
仮想設計とは言え、開発期間が大幅に短縮できる効果を身を持って体験できたことに、LPB標準フォーマットの可能性を強く感じることができました。また、LPB WG活動の1年目に、自分自身、経験のなかった社外報告を経験でき、LPBメンバーとは言え、複数の企業と協力して成果を出していく、それがまた担当者レベルでもしっかりと感じ取れることができたのは、LPB WGに参加することでしか得られない醍醐味であり、本当に良い経験をさせて頂きました。
LPB標準フォーマットも、今やIEEE/IEC国際標準フォーマットにまでなりました。
国際標準はあくまでもLPB WG活動の通過点であり、設計者の皆様が当たり前のようにLPBフォーマットを使って設計している世の中を目指し、まだまだLPB WG活動を続けていく必要があります。同じ志を持ち、今の設計に満足することなく、世の中を変えてやろうと思われているあなた、ぜひLPB WGに参加頂き、一緒に活動していきましょう!
次回は、(株)リコーの大槻さんです。宜しくお願いします。