(この記事は、2019年1月9日にメルマガで配信されました。)
第16回目は(株)村田製作所の五嶋さんです。では、五嶋さんよろしくお願いします。
わたしがLPB-SCの会合に顔を出すようになったのは、2017年、株式会社村田製作所(以下、当社)にLPB Formatの整備、普及するための協力要請をいただいたことがきっかけです。作業負担をかけないように当社のWEBサイトから自動的に部品情報を抽出するプログラムをご準備いただいたのがとても印象に残っています。新参者のためLPBについての思いではなく、LPB Formatに期待することを、担当しているライブラリ作成の仕事にからめて書かせていただきます。
当社が提供している部品ライブラリは、測定値から得られるSパラメータやSPICEモデルを基本とし、個別のシミュレーションソフトについては必要に応じて回路シンボルや部品の仕様情報を追加しています。ライブラリの掲載品番は設計支援ツールSimSurfing( https://ds.murata.co.jp/simsurfing )のデータと連動しています。積層セラミックコンデンサについて公開履歴を見ますと、2011年4月、1,188品番のデータ公開からスタートして2018年12月時点で21,705品番になっています。単純計算で一年あたり2,700品番弱のデータを追加してきたことになります。この間、測定、等価回路抽出、ライブラリのパッケージング、動作確認、使用マニュアルの作成、データのWEB掲載の業務を複数の部門・担当者がマンパワーをかけて実施してきました。
ところで、電子部品を製造・販売している会社として、このような部品モデルをお客様にご提供することは重要な仕事と位置付けられていますが、売り上げに対する貢献度を客観的な数字にして評価することはとても難しいです。このため、お客様からのフィードバックやリクエストを拠り所にして、市場の要求に沿ったアクションとすることが多いです。それは、おそらく他の部品ベンダ様も同じかと思います。
LPB Formatの普及には、当社だけでなく多数の部品ベンダ様がこのデータをサポートされることが不可欠と考えていますが、それとともにその部品データが取り扱える各種ソフトウェアも必要です。LPB-SCには各メーカー様をはじめ、CADソフトウェア、シミュレーションソフト、そしてEDA関連のエンジニアリングを事業とされる方が多数参加しておられます。LPB-SCの活動が進展した結果、皆様の開発プロセスの中にLPB Formatが浸透して必要性が高まり、その声がそれぞれの立場の業務にフィードバックされることでデータのサポートと普及が促進されると思います。一部品ベンダの担当者として、LPB Formatの発展とともにお客様のモノづくりに貢献できることを願っています。