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私とLPB 第22回

(この記事は、2019年9月17日にメルマガで配信されました。)
第22回目はソニーLSIデザイン(株)の村岡さんです。では、村岡さんよろしくお願いします。

私とLPB

こんにちは、ソニーLSIデザインの村岡です。
宜しくお願いします。

2017年にLPBに関わらせてもらってから、ほとんど貢献らしいものが出来ていないのは心苦しい限りなのですが、今回は、私のバックグラウンドとLPBとの関わりについてお話ししたいと思います。

私は工学部電工学科を卒業して、出向元であるソニーに入社後、GaAsデバイスの評価基板の設計を3年程担当したのですが、その後の異動先でたまたま担当する人が居ないとかで事業部管理の仕事に回されてしまいました。
自分はエンジニアになりたいと思って入社したので、管理系の仕事には抵抗が有って、異動したいと言い続けたのですが、他にやる人が居ないからと、結局、5年担当する事になってしました。
そして、管理の仕事も色々と分かってきて、このままでも良いかなと思い始めた頃、いきなり、今度、新しいRF SiPを開発する事になったので、高周波設計をやってくれと言われたのです。
その時に言われたのが「うちの部でスミスチャートが読めるのは君だけだから」という何とも言いようの無いセリフで、如何に人材が居なかったか分かろうというものです。
そういう訳で電気設計グループを任されたのですが、高周波設計の経験が有るのが現場を5年も離れていた私だけで、他のメンバーは全員素人という頭を抱えてしまうような状況でした。
それでも、本を読んで勉強し、メンバーともども何度もセミナーに通って、何とか3ヶ月程でフィルターが設計出来たのですが、それが動いた時の喜び(というよりは安堵)は今でも良く覚えています。
ちなみに、その時に使ったツールはAnsoft Designerで、Ansys社(当時はAnsoft社)の方々には随分お世話になりました。
この場を借りて、お礼を言わせて頂きたいと思います。

その後、単体のフィルターやバラン、整合回路の試作を何回か繰り返して何とか形になり、いよいよSiPとしてLSIの組み込みをやろうとしたところで、様々な問題にぶつかりました。
例えば、SiPではPKGの様にLSIとBoardの間を繋ぐ事になるのですが、同じ機能を持った端子でも各々の世界で呼び名が違います。
単純に1対1の関係に無い端子も有り、仕様書を読みながら1端子ずつ接続情報を手作りしていきました。
LSIのCADデータからパターン情報をシミュレータに取り込む際も頻繁にデータの変換ミスが起こり、毎回目視しながらチェックを繰り返しました。
CADとシミュレータでは持っている位置情報の精度が異なります。
CAD上では存在しないはずの1/100um単位のギャップやパターンがシミュレータへの取込み時に発生し、解析を流しながら結果のおかしい箇所をビューワで拡大して、1か所ずつ手作業で修正していきました。
非常に基本的な事ですが、データ取込み時にFace-upとFace-downを間違えて取り込んで結線してしまい、一から結線作業をやり直した事も有ります。
(pad配置が対称だったので、間違いに気が付くのが遅れ、危うく試作投入してしまうところでした)

こう言った協調設計時に発生する問題を解決出来るのが、LPBフォーマットだと思います。
上で述べた端子や接続情報だけではなく、材料特性や形状データも含めて、設計段階に応じたツール間で自由な情報のやり取りが可能になります。
従来から設計時間短縮の手段として取り組まれて来たシミュレータの解析時間短縮だけでなく、実際にはより大きな部分を占める準備段階の効率化の手段として、大きな効果が有ると思っています。

最後に、JEITAのような業界団体に参加したのは初めてだったのですが、日頃はなかなか知り合う機会の無い同業の方々と色々とお話しする事が出来ました。
(主に夜の部においてですが)
自分がした事の無い様々な経験をされた方が集まっていて、新しい知識・感性に触れる事はとても楽しい経験です。
このコラムを読まれている方の中で、何か新しい事を始めてみたいと思っている方、業界団体の活動に興味の有る方、特に具体的では無くても何となく気になった方、是非、一度参加しては如何でしょうか?

短くと思いながら書き始めたのですが、思いの外、長くなってしまいました。
最後までお付き合い頂きありがとうございます。

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