今回は、「EMC設計実証TG」の活動を紹介します。
本TG(タスクグループ)は、システムのフロントローディングの実現を目指す「システムフロントローディングWG」の配下にあり、EMC設計の目指す姿を具体的に議論しています。
まず、本TGの目的を説明させていただきます。
機器やデバイスの設計において、EMIやイミュニティーの規格を満足できるかをあらかじめ見積もっておくことは、重要かつ困難なテーマであります。
これは、コストダウンと信頼性確保という、相反する要求を実現することであり、余裕度を持った設計ができなくなっています。セットメーカーとデバイスメーカーが初期段階から協調設計を行うことで初めて解決できるケースが多くなっていると感じています。
本TGでは、具体的なEMC設計課題を取り上げ、フロントローディングを実現するためデバイスメーカーができること、セットメーカーがやらねばならないことを具体的に議論することを目的としております。
現在は、実測や解析を行いながら2つの設計課題のモデル実証に取り組んでいます。
Case1.ICIM-CI(Conducted Immunity Modelling)
一つは、システムのESD試験の誤動作予測に使える誤動作モデルです。
図1に示すような評価用基板の試作、DPI試験を計画しています。
図1 評価基板
LSIに印加したノイズ周波数に対する脆弱性を把握することで誤動作モデルを作成する予定です。
この誤動作モデル使ったMBDを実践してみます。その時の課題を具現化し、どう解決するかを議論します。
Case2.ICEM-RE(Radiated Emissions Modelling)
もう一つは、LSIの直接放射が問題となる放射や自家中毒を予測するモデルです。
図2 ヒートシンクのアンテナ化やケーブルへの結合の課題
図2に示すようなヒートシンクをアンテナとする放射の問題、近傍のハーネスへのノイズ結合による誤動作の発生の問題を取り上げています。
LSI近傍の電磁界を近磁界プローブで測定したデータを用いてどの程度の精度で放射や誤動作予測ができるかを実証します。
このTGの議論の題材は常に具体的なLSI、回路、基板パターン、筐体、ハーネスであり、アウトプットはすぐにEMCの設計に活用できるものであるようこだわっています。
皆さんも本活動にご参加いただき、EMCの設計課題を一緒に解決しませんか?