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第6回 SPICE を使ったクロストーク解析

 前回はG-FormatからSPICEモデルを抽出しました。今回は、このSPICEを使ってクロストークノイズの解析を行います。回路シミュレータはANALOG DEVICES 社のLTSPICE を使用します。

LTSPICE のインストール

 

LTSPICE は無償で使用することが来ます。下記URL からダウンロードしてインストールしてください。

https://www.analog.com/jp/design-center/design-tools-and-calculators/ltspice-simulator.html

LTSPICE の起動

 

Windows メニュ> LTSpice XVII からLTSPICE を起動します。始めてLTSPICE を起動した場合や、しばらく使っていなかった場合はツールのアップデートが行われる場合があります。少し時間がかかりますが気長に待ちましょう。L

TSPICE の操作方法はHelp メニューで表示されるマニュアルを参照してください。また youtube上のLTspice Users Clubなども参考になります。

SPICE モデルの入力

 

下記の手順で電磁界解析ツールで抽出したSPICE モデルファイルを入力します。

File Open メニュ 6.2.
File Open メニュ 6.2.
  • File > Open... メニューを選択します
  • Open an existing file ダイアログが開くのでNetlist(*.cir;*.net;*.sp) を選択します
  • 前回の連載時に保存したSPICE モデルファイル(apex_xtalk.sp) を選択して入力してください。入力が終わると:wSPICE モデルが表示されます。
Open SPICE File ダイアログ
Open SPICE File ダイアログ

 

シンボルの作成

 

以下の手順でSPICE モデルから回路図用のシンボルを作成します。

  • 表示されているSPICE モデルから、.subckt cMain の行を選択します
  • マウスの右ボタンをクリックしポップアップメニューを開きます。Create Symbol メニューを選択してください。
  • 確認用のダイアログ(Do you wish to automatically create a symbol that will netlist against the subcircuit ’cMain’ and her 12 ports?) が開くので、はい(Y) (もしくはYES) をクリックしてください。
  • 自動的にシンボルが作られます
シンボルの自動作成
シンボルの自動作成

 

回路図の入力

 

解析用の回路図を作ります。

クロストーク解析用の回路
クロストーク解析用の回路

 

まず、先ほど作ったシンボルを挿入します。

Create New Schematic メニュ
Create New Schematic メニュ
  • File > New Schematic メニューを選択します
  • Edit > Component メニューもしくはツールボタンのComponent をクリックし、シンボル選択用のダイアログを開きます
Component の追加
Component の追加

 

シンボル選択用のダイアログ
シンボル選択用のダイアログ

 

  • 自動作成したシンボルは[AutoGenerated] にあります。[AutoGenerated] をダブルクリックして開きます。
  • [cMain] を選択してOK ボタンをクリックします
  • 任意の位置にシンボルを配置してください。挿入モードから抜けるにはエスケープキー押してください。
自動作成したシンボルの選択
自動作成したシンボルの選択

 

それではNA1, NB1, NC1 をaggressor、NA2, NB2, NC2 をvictime とし、aggressor 側のネットにパルスを入力するための電圧源を挿入します。また終端およびオン抵抗として50 Ωの抵抗器を挿入します。victime 側のネットは50 Ωの抵抗で接地します。

 

 

電圧源の挿入

agressor にパルスを入力するための電圧源を挿入します。

  •  ツールボタンのComponent をクリックし、シンボル選択用のダイアログを開きます
  • 検索ボックスにvoltage を入力すると電圧源が選択されます。
  • OK ボタンをクリックし、適切な位置に電圧
電圧源の挿入
電圧源の挿入

 

挿入した電圧源に1V のパルス波形を設定しますパルス幅を32n sec、周期を100n sec、rise/fall をそれぞれ1n secとします

Aggressor に印加するパルス波形
Aggressor に印加するパルス波形
  • 挿入した電圧源を右クリックして電圧設定用のダイアログを開きます。
  • PULSE をチェックし、以下の値を設定してください
    Vinitial[V] 0
    Von[V] 1
    Tdelay[s] 1n
    Trise[s] 1n
    Tfall[s] 1
    Ton[s] 30
    Tperiod[s] 100n
  • OK ボタンでダイアログを閉じます。
電圧源に対するパルス設定
電圧源に対するパルス設定

 

設定が完了した電圧源をコピーします。

  • Edit > DuplicateメニュかツールボタンのDuplicate をクリックします
  • 設定が完了した電圧源をクリックするとコピーされます。適切な位置に配置してください。
  • コピーモードから抜けるにはエスケープキーを押してください。
Duplicate(コピー&ペースト)
Duplicate(コピー&ペースト)

 

抵抗の挿入

50 Ωの抵抗を12 個挿入します。まずは一つだけ配置し、抵抗値を設定後コピーします。

  • ツールボタンのResistor をクリックすると抵抗が挿入されます。コントロール+ R キーもしくはツールボタンのRotate でシンボルが回転します。適切な位置に配置してください。
抵抗器の挿入
抵抗器の挿入

 

  • 配置した抵抗を右クリックして値設定用のダイアログを開きます。抵抗値(50) を入力しOK ボタンでダイアログを閉じます。
  • 電圧源と同様にDuplicate を使って残りの11 個の抵抗を挿入します。
抵抗値の設定
抵抗値の設定

 

グランドの挿入

接地用のグランドを挿入します。

  • ツールボタンのGround をクリックするとグランドが挿入されます。適切な位置に配置してください。
グランドの挿入
グランドの挿入

 

配線

必要な部品の配置が終了したら部品間を配線していきます。

  • ツールボタンのWire をクリックすると配線モードになります。部品の端子間を配線で繋いでください。
  • 配線モードから抜けるにはエスケープキーを押します。その他、誤った配線を消す削除(CUT) やUndo, Redu などの機能を使って配線作業を行ってください
WIREの追加
WIREの追加

 

シミュレーションの実行

ツールボタンのRun ボタンを押すとシミュレーションが実行されます。シミュレーション設定が終わっていない場合は、設定用のダイアログが表示されます。今回は過渡解析を行います。Transient タグをクリックし、シミュレーション時間(Stop Time) に50n を設定してください。ボタンでシミュレーションが開始されます。

シミュレーションの実行
シミュレーションの実行

 

結果波形の表示

 

LTSPICE メインウインドウ
LTSPICE メインウインドウ

シミュレーションの実行が終了すると波形表示用のウインドウがポップアップします。波形を表示したいネットをクリックしてシミュレーション結果を表示します。

 

 

 

プローブ
プローブ

波形表示用には電流用と電圧用の2 種類のプローブがあります。今回は電圧プローブを使用します。

 

ネットの近傍にマウスカーソルを持っていくとポインターの形が電圧プローブに変わりますので、この状蓼ネットをクリックします。aggressor とvictim 側のネットをクリックしてください。aggressor のパルス波形の立ち上がりと立ち上がり付近にクロストークノイズが観測できます。配線長が長いネットのクロストークノイズが大きくなっていることが観測できると思います。

クロストークノイズの表示
クロストークノイズの表示

 

今回はここまでとします。次回は、Xtalk用のモデルの抽出作業を自動化する例を紹介します。

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