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第4回 チップコンデンサ(後編)

今回はチップコンデンサ(GRM188R60J226MEA0)の後編です。先月の連載ではコンデンサの形状(FootPrint)の定義方法を解説しました。今回は、C-Formatからシミュレーションモデル(SPICEおよびSパラメータ)を参照する方法を中心に解説します。

チップコンデンサ

前回の復習としてGRM188R60J226MEA0の形状とC-Formatを示します。前回は29行目の<socket>までを説明しました。今回は<specification>と<reference>を説明します。

GRM188R60J226MEA0

<specification>要素

<specification>要素は部品の特性を定義します。サンプルの例ではコンデンサ部品の容量の公証値を定義しています。なお、<specification>要素はオプショナルな要素です。未定義でも問題ありません。

子要素の<capacitance>要素が容量値です。

typ

容量値です。容量の単位は<unit>要素の子要素である<capacitance>で定義されてます。サンプルの例では単位は <capacitance unit="uF"/> と定義しているので、22uFが容量値となります。

<reference>要素

<reference>要素で、この部品のシミュレーションモデルと端子との参照関係を定義します。サンプルはSPICEモデルの定義用とSパラモデルの定義用の2つの<reference>要素を含んでいます。

<reference>要素の構文規則

<reference>要素は子要素として一つ以上の <connection>要素を含みます。

<reference>の属性で参照するシミュレーションモデルの種類とファイルを定義します。以下の3つの属性を持ちます。

xmlns ,  format

参照するシミュレーションモデルにより xmlnsformatの記述方法は以下のように固定されています。

SPICEモデル

Sパラメータ(touch stone形式)

reffile

シミュレーションモデルのファイル名です。参照するファイル名を記述してください。

<connection>の属性でシミュレーションモデルの入出力ノードと端子とのクロスリファレンスを定義します。socket_nameとport_idの2つの属性を持ちます(下例参照)。

socket_name

シミュレーションモデルの入出力ノードに対応する部品の端子が定義されている
socketの名前(識別子)を記載します。

port_id

シミュレーションモデルの入出力ノードに対応する部品の端子が定義されている
端子(port)の識別子を記載します。ここで参照されている識別子の端子(port)は、 socket_nameで指定されたsocketに属している必要があります。

<connection>要素の子要素は参照するシミュレーションモデルにより子要素が変化します。詳細は以降の節で説明します。

SIPCEモデル用の<reference>要素

以下に2端子部品のSPICEモデルファイルを参照する例を示します。SPICEモデルの場合の xmlnsformatは下記の例のように記述します。reffileは参照するSPICEモデルのファイル名です。

<connection>要素は、SPICEのI/Oノードと端子との対応(クロスリファレンス)を定義します。SPICEモデルを参照する場合の子要素は<spice:ref_port>です。下記にその例を示します。

subckt

<reference>要素の reffileで指定されたSPICDモデルファイルに記載されているsubckt名です。

portid

SPICEモデルのI/Oノードの定義順番です。上記例では portid="1" と記載されているので、第一番目に定義されているI/Oノードを意味します。

上記の<connection>要素の例では、SPICEモデルファイルのGRM188R60J226MEA0というsubcktの第一番目のI/Oノードは、CFormat中のpinsという名前のsocketに含まれるidが1のportとリンクします。

再度、サンプルのCFormatを見てみましょう。下図 はCFormatのportとSPICEモデルのI/Oノードの関係を示しています。GRM188R60J226MEA0のid="1"の端子はSPICEモデルのPort1ノードに、id="2"の端子はPort2ノードにリンクしています。

SIPCEモデル用の要素の例

Sパラ用の<reference>要素

以下にSパラメータファイルを参照する例を示します。Sパラメータの場合のxmlnsformatは下記の例のように記述します。reffileは参照するSパラメータのファイル名です。

<connection>要素は、SパラメターのI/Oノードと端子との対応(クロスリファレンス)を定義します。Sパラメータを参照する場合の、子要素は<touchstone:ref_port>です。下記に、その例を示します。

portid

Sパラメータのポート番号です。上記例では portid="1" と記載されているので、Sパラメータの第一ポートを意味します。

上記の<connection>要素の例では、Sパラメータの第一ポートはCFormat中のpinsという名前のsocketに含まれるidが1のportとリンクします。

下図はCFormatのportとSパラメータのI/Oノードの関係を示しています。GRM188R60J226MEA0のid="1"の端子はSパラメータの第一ポートに、id="2"の端子は
第2ポートにリンクしています。

Sパラメータ用の要素の例

 

以上、2端子のチップコンデンサを例題に最も簡単なCFOMRATの記述方法について説明しました。次回は、4端子の水晶振動子の例を紹介します。

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