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私とLPB 第27回

(この記事は、2020年6月11日にメルマガで配信されました。)
第27回目は株式会社XrossVateの金子俊之さんです。では、金子さんよろしくお願いします。

みなさん、こんにちは。XrossVate(クロスベイト)の金子俊之と申します。
今年度からLPBの活動に参加させていただきました。どうぞ、よろしくお願いいたします。
以前も別の会社でLPBの設立の頃、活動をしていましたので、ご存じの方も多く、また、楽しく一緒に活動できればと思っています。
簡単に今の会社XrossVateのご紹介させていただき、LPBに出会うまで、LPBに出会ってからについてご紹介させていただきます。

【XrossVateの御紹介】
XrossVateは、本質的なエンジニアの価値向上に取り組む『エンジニアによるエンジニアの会社』です。具体的には、お客様のお困りごとに対する技術コンサルティングや、技術支援、教育等を行います。教育につきましては、“ゼロから設計マン”と言う機械、電気、設備、プロジェクトマネージャ向けのカリキュラムを用意しています。
http://www.xrossvate.com/
http://zerokara-sekkei.com/

【LPBとの出会いについて】
LPBの出会いの前に、私とEMC(Electro Magnetic Compatibility)との出会いについて御紹介します。EMCに初めて出会ったのは、1991年、大学の研究室で伊藤健一先生と渋谷昇先生の御指導の元、EMIのシミュレーションについて、研究を行ったことがきっかけでした。当時、プリント基板のLCRの等価回路を計算し、ラダー回路を作成し、SPICEを使ってプリント基板に流れる電流波形を解析し、電流波形の周波数成分からEMIを計算していました。また、簡単な回路を用意して、実際に基板に搭載し電波暗室でEMIを測定し、シミュレーション結果と比較していました。当時、助手をされていた高橋丈博先生のアドバイスで回路を電池駆動とすることで電源ノイズの影響を抑えられたこともあり、また、単純な回路ということもあり、相対的には、高調波ノイズの傾向が、実測とシミュレーションで、それなりに見えていたと思います。そんなこともあって、某電機メーカーのプリント基板事業部の設計部門の部長から、EMIシミュレーションを導入し、立ち上げたいので一緒にやりましょうとお声をかけていただき、某電機メーカーへ就職することになりました。このときが、1993年です。当時、市販のEMIシミュレーションツールの立ち上げをするとともに、過去のプリント基板設計でEMC対策として効果のあった設計手法をまとめる業務を行っていました。市販のEMIシミュレーションの立ち上げで苦労したのは、CADデータの取り込みです。当時は、大手の電機メーカーが独自のプリント基板設計CADを活用している時代でした。私が所属していた会社も同様に、自社のCADツールをメインに使っており、そのCADと市販のEMIシミュレーションツール間のデータのやり取りをする必要があり、外部のメーカーへ依頼して自社CADと市販EMIツールとのデータコンバートの開発を行っていました。最初は、物理的な形状の変換を行い、その後、論理データの変換、電気特性データの変換が行えるようにしていきました。データコンバートするためのソフトができると、いろいろなCADデータを使って、正しく変換できるかを確認していました。このような検査を繰り返して、データコンバートするソフトの精度を高め、お客様から御依頼のある設計品にEMIシミュレーションツールを適用するようになりました。次に問題になったのが、ICのデバイスモデルです。当時、IBISモデルもありませんでしたし、SPICEモデルを半導体メーカーから入手するなんてことも、ありませんでした。ひたすら、ICのカタログとにらめっこをしながら、このEMIツールで必要になるデバイスモデルを作成した記憶があります。このように、私はプリント基板を設計する部門でシミュレーションツールを活用した設計手法や、ツールの活用法、ノイズ対策設計手法の構築を行ってきました。
その後、多くのプリント基板をやられていた部署やメーカーは、統廃合を繰り返しています。私も多くの統合を経験して、多くの会社の文化に触れてきました。その中で印象的だったのは、同じプリント基板屋さんでも、使われる用語が全く違うということです。特に印刷系のメーカーと電気系のメーカーでは、各種の仕様の呼び方や工程の呼び方など違いがありました。そこで、合弁会社ができると用語集ができ、お互いの呼び方、今後はこの呼び方に統一しますといった文書が出ていたと記憶しています。さらに、高速高周波化に向けて、プリント基板設計単体での電気特性や構造の最適化に限界があり、LSIや半導体PKGも含めて最適化を検討する必要が出てきました。そうなると、プリント基板の単体ではなく、システムとして全体最適化を考える必要がでてきました。そんな中、2010年のLPB相互設計ワーキンググループの正式発足のときに、主査の福場さんから声をかけていただき、一緒に活動させていただきました。当時、LSI、半導体PKG、プリント基板のフォーマットを統一して相互に設計協力できる仕組みを作ることに、とても意義を感じていました。また、LPBフォーマット普及に向けて、合宿などで議論していたことや、LPBフォーマットを英語表記する際には、メンバーで集まって遅くまで、議論しながら作成したことを思い出します。

【LPBと出会ってから】
高速なシステムの開発に携わっているときには、LSIメーカーから半導体PKGとボードの設計を協力して、高速なシステムを実現したいといった要望は強く、同じ社内で半導体PKGとボードを設計している場合には、しっかりとコミュニケーションがとれていれば良いのですが、先ほどもありましたように、複数の会社が一緒になっているプリント基板メーカーでPKG部門とプリント基板部門の設計者が誤解なく意思疎通を図って設計することはとても難しいと感じていました。そんな中で、LPBフォーマットがもっと普及し、プリント基板メーカーだけでなく、1つのシステムを開発するチームの共通言語になればと思っています。また、多くの方がLPBフォーマットを利用できるような教育システム、設計者へのご紹介などでご協力できればと考えております。微力ながら、半導体&システム設計技術委員会の活動を通じて、皆様のシステム開発に貢献していきたいと考えています。
最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

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